トラブル・悪質クレーマー対応

クレームの定義

クレームとは?

悪質クレームは社会通念から著しく不相当であると定義される

確固たる定義があるわけではありませんが、「商品、相手の行為や処置などに対する苦情」ということになるでしょう。「消費者が商品・サービスに関する不満から会社(店舗)に責任ある対応を求めること」という定義もあり得ます。

但し、より重要なのは「悪質クレーム」です。
こちらは、「要求内容または要求の態様が社会通念に照らして著しく不相当であるクレーム」という定義になります。

クレーム対応の基本的な考え方

悪質クレームの定義に基づいた判断をするためには、その前提として、通常の意見・改善をもとめるクレームに対して真摯な姿勢で対応する必要があります。

悪質クレームなのかどうかがわからない顧客に対しては、通常の顧客と同様の誠意ある対応をしつつ悪質クレームになるかどうかの判断材料を確実に収集することが必要になります。

クレームの要望事項について適切な対応をする中で、悪質クレームとそうでない(通常のないし正当な)クレームとの切り分けをする、という点がポイントです。

クレームの対応方針について

謝罪をする

謝罪に関しては、謝る対象を明確にする必要があります。

ポイントは不快感を抱かせてしまったことに謝ることであり、ミスに関して謝ることではないです。 ミスに対しては、ミスがあったことを確認できてから行いましょう。たとえミスが合ったとしても、ミスの程度に応じた対応をすることが重要です。

相手方の言い分を正確に把握する

相手方の名前、住所、連絡先などの情報を得たうえで、顧客の言い分を正確に聞くことが重要です。不明確な情報を明確にする努力と、不足する情報に対して更に追加で意見を貰う必要です。 その上で、顧客の勘違いが有る場合は正しい情報を提供しましょう。

事実確認

顧客からの情報を元に事実であるか否かを確認します。 その際、確かな証拠・証言であるかが重要なポイントになるため、事実と異なる場合は指摘をし、真実なら適切な対応を行う。

悪質性が有る場合

検証可能な証拠を作ります。
主に、録音・録画・対応記録・時刻などの検証可能なデータを元に作成することを推奨します。悪質性が高いと判断した場合は、単独ではなく複数名で対応しましょう。

対応環境

対応環境が複雑、長時間に及ぶ場合は顧客のプライバシーや他の顧客への影響、業務上の支障を考慮し、対応場所をより適切な場所へ移動させる。

法的クレーム対応

特に「法的クレーム対応」という概念があるわけではありません。 先述したクレーム対応の方針1,2で対応し、ルーチン的な処理の中で悪質クレームであることが判明したものに対して、法的な措置(民事訴訟や刑事上の告訴・告発等の手続を含む)をとることになるでしょう。

法的クレーム対応

特に「法的クレーム対応」という概念があるわけではありません。
先述したクレーム対応の方針1,2で対応し、ルーチン的な処理の中で悪質クレームであることが判明したものに対して、法的な措置(民事訴訟や刑事上の告訴・告発等の手続を含む)をとることになるでしょう。

クレームが発生したら

「これは悪質クレームかも知れない」と思った時点で問い合わせしてください。そうすれば、その時点で悪質クレームと十分に判断できるような状況なのか、悪質クレームと断定するにはもう少し材料の収集が必要なのかを第三者の視点から分析することができ、対応法を誤らずに済みます。

初期対応

顧客対応クレーム対応においては、悪質クレーマーに対して会社が縁切り状を出した後の段階を除いて、弁護士が矢面(交渉窓口)に立つことは絶対にないです。(下手な段階で弁護士が窓口に立つことは、事態を徒に複雑化させ、百害あって一利なしです)。

 「初期対応」が、クレームを受けた側として対応と回答の方針を決定して当該クレーマーとやり取りをする、ということを意味するとすれば、やるべきことは、

  1. クレーマーの言っていること(要求内容)を正確に把握すること
  2. クレーマーからの情報をもとに事実確認を行うこと
  3. ①②を踏まえて対応・回答の方針を決定すること

に尽きます。弊所としては、それぞれの段階に応じたバックアップを行うことになります。

なお、③の対応・回答の方針をクレーマーに伝達するのは、急いでやる必要はなく、急いで対応しようとして事実確認や対応方針の法的・社会的妥当性の吟味が不十分なまま対応してしまうと、かえって傷口を広げる結果となりますので、注意が必要です。

情報収集

要求内容の具体化

  1. 電話にせよ対面にせよ、録音等の形で記録化する。
  2. 要求(希望)内容を尋ねる。
  3. 準備としては、従業員の研修等の事前の啓蒙・教育が重要。

「お客様は神様です」といった顧客至上主義を社風から排除することも肝要です。悪質性の高いクレームや不当な要求に関しても過度な対応を求めれば、当然、従業員の本来の業務に支障をきたし、本来対応するべき領域のサービスレベルを落とすことになります。

証拠づくり

電話で相談を受けた場合には録音するなど、クレーム対応の全てを記録化することが重要です。例えば「水がかかった」といったクレームであれば、その現場で写真を撮るといった作業も重要でしょう。

※飲食店の座席に座ったら服にガムがついた、というクレームに対して、現場の従業員が、そのガムを手で触って「まだ温かいですね」と言って、クレーマーの自作自演であることを暴いた、という事例もあります。

相手方の個人情報の特定

最初に問い合わせがあった段階で相手方の氏名、住所、電話番号等は聞いておくべきです。これを明かさない相手には対応しないと明言して構わないです

解決までの交渉

対応策の決定

事実関係の確定

関係者からの聴取りや客観的資料を収集して、クレーマーの主張する事実があるのか否かを判断していきます。

法的検討

クレーム対応とは、クレーマーの要求とそれを基礎づける事実主張を踏まえ、クレーマーの事実主張に客観的根拠があるのか否かを企業側の事実関係の調査から確定した上で、どういう対応をするか(クレーマーの要求に対してどのように回答すべきか)を確定するという一連の手続です。

従って、クレーマーの要求内容と、それを基礎づけるクレーマーが主張する事実が客観的事実として認められるのかが確定した段階で、法的・社会的に妥当性のある対応・回答方針はどのようなものかを検討することが可能となります。

対応策の決定

対応策を決定するタイミングのみで面談が必要ということではないですが、それ以前の情報収集やクレーマーとのやり取りの場面でも面談すべきケースはあります。

もっとも、対応策の決定は、認められる事実を踏まえてどういった対応が法的・社会的に相当かという判断によるものですので、そのタイミングでは面談をすべきケースが多いでしょう。

書面については、依頼者(企業)側が作成し、それを弁護士が添削します。少なくとも、(日本刀を振り回すような態様による悪質クレーマーを除けば)解決策・対応策の提示は、悪質かどうかに拘わらずクレーマーに対して行うべき行為であって、解決策・対応策を提示する内容の文書を弁護士名義で作成することは通常はありません。

交渉

クレームが生じた後は、要望の内容の確認(もちろん、その際に適宜、迷惑を掛けたことに対する謝罪等はする)と事実確認を行って、とるべき対応方針を決定して、会社からクレーマーに伝達という流れになります。

悪質クレーマーかどうかは、その一連の流れの中で徐々に判明してくるものであり、かつ、会社の対応によって悪質クレーマー化するということもあるので、悪質クレーマーになってから相談に来るということでは手遅れまたは不適切というケースが多いです。

弁護士対応

上記のとおり、交渉の段階ではバックアップとして、とるべき対応方針や行うべき調査の内容・方法等についての助言をします。通常は、そうした助言を踏まえて会社が適切に対応すれば、大方の案件は収束しますが、収束しないケースもあります。

すなわち会社から複数回、しかるべき対応・回答を文書で行ったにも拘わらず、収束しないような場合(悪質クレーマーであることが判明したケース)においては、会社からいわゆる「縁切り状」(それ以上の交渉を打ち切り、以後当該クレームについては会社として一切対応いたしかねる旨の文書)と呼ばれる文書を送付します。

そして、なおも不当要求や迷惑行為が続く場合には、交渉窓口を弁護士に移管する旨の通知を会社名義で出し、その後の交渉の窓口は弁護士が務めることになります。

クレーム対応のポイント

これまでに述べたこと以外では、初期対応時に、不快感を抱かせたことについてなど、範囲を限定した謝罪をするなどして、クレーマーの感情を和らげる努力をすることです。

その際に余計なこと(例えば損害賠償責任の有無等、要求内容と事実の確認をして対応方針を決定した後でなければ確答できないようなこと)には触れないこと。

即答を求められても拒否すること(期限を区切る旨のクレーマー側の要求に法的拘束力はないと認識すること)などが重要です。

対応方針は、要求内容の把握と事実確認ができた上でないと決定できない(答えられない)、ということを対応する従業員が理解するまで反復して情報共有を行う必要があります。

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