賃貸借契約中
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賃貸借契約中における法的留意点
漏水
賃貸借物件が漏水の被害にあったというご相談を受けることがあります。
この場合、漏水の発生箇所及び発生原因を特定することがまず必要です。
漏水が共用部等の賃貸人の管理すべき領域で発生した場合には、賃貸人に対し、修繕を求めると共に、漏水によって必要となった工事費用、什器交換費用、休業損害等の賠償を求めることになります。
漏水が他の賃借人の管理すべき領域で発生した場合には、当該他の賃借人に対し、修繕を求めると共に、漏水によって必要となった工事費用、什器交換費用、休業損害等の賠償を求めることになります。
このように、漏水の発生箇所及び発生原因の特定は、請求をする上で避けて通ることができませんので、漏水の被害に遭われた際は、まずは賃貸人や他のテナントと共に原因の究明を行い、その内容を議事録等の形で記録化しておくことが肝要です。
なお、ここまでは漏水の被害を受けたケースを念頭に書いてきましたが、漏水を発生させて他の賃借人に被害を与えてしまうこともあり得ます。特に「居抜き」のケースは要注意です。これについては、賃貸借開始前(5)をご覧ください。
賃料額の変更
税金の増減・地価の変動等の経済変動・近傍の相場との比較から賃料が不相当となったときは、当事者は賃料の増減額請求権を取得することになります。これは、契約に定めていなくても、法律上発生する権利です。 従って、上記のような観点で賃料が不相当に高くなったときは、賃借人は、賃貸人に対し、賃料の減額を請求することができますし、逆に、賃料が不相当に低くなったときは、賃貸人は、賃借人に対し、賃料の増額を請求することができます。
もっとも、「定期建物賃貸借」の場合には、特約で賃料増減額請求権を排除することが法律上認められており、賃借人からの賃料減額請求権を認めない内容での契約締結を迫られるケースがほとんどです。
賃貸人が賃料増額請求権を行使するとして賃料の増額を通知してきた場合、賃借人としてはそれに従うしかないのでしょうか。そんなことはありません。賃料の増額について当事者間に協議が調わないときは、賃借人は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の賃料を支払うことをもって足りるとされています。
「相当と認める額の賃料」がいくらなのかという点は難しいところですが、賃貸人の増額要求が全く根拠を欠くものであれば従前どおりの賃料でよいし、賃借人としても、確かに景気変動や周辺の賃料相場の状況からすると現行賃料は安すぎると考えているような場合には、賃借人側で何らかの基準で「相当と認める額の賃料」を算出して、根拠を賃貸人に示した上で支払う(または供託する)のがよいでしょう。もっとも、賃料増額を認める裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額には年1割の利息がつくことになりますので、注意が必要です。