労働契約

労務関係に関するご相談

ケース

昔お世話になった人が喫茶店を開くことになった。

ホールスタッフが足りないとのことなので、自分もそこで働くことにした。ただ、親しい仲なので特に契約書のようなものは作らなかった。 給料について話したのだが、開店資金が思ったよりかさんでしまったとのことなので、時給500円で働いてあげることにした。 他の店員もなかなか集まらないらしいので、最初のうちは開店から閉店まで休憩を挟んで一日11時間、店に立つことにした。

労働契約とは

労働者が労働力を提供し、その対価として雇用者が給料などの報酬を支払う契約を労働契約といいます。飲食店と調理師やフロアスタッフとの間にむすばれる契約は、通常この労働契約にあたります。

労働契約が成立するためには、労働者と使用者との合意があればよく、契約書の作成といった手続を取る必用はありません。

また、仮に労働契約では無いようなタイトルをつけた契約書を作ったとしても、その内容が労働契約といえるものであれば、それは労働契約とされます。

上記のケースでは、ホールスタッフとして働いて給料を得るとの合意が成立しているといえるので、たとえ契約書を作らなかったとしても労働契約が成立します。

労働契約の特徴

契約というのは、原則として当事者が自由に内容を決めることができるものです。ですが、労働契約に関しては、契約労働基準法等の法律によって、当事者が自由に決められる範囲が狭められています。

たとえば、労働基準法によって一日の労働時間は8時間と定められているため、たとえ使用者と従業員とでそれより長い時間働くとの合意ができていたとしても、その部分についての契約は無効です。

また、最低賃金法という法律で賃金の最低限が定められており、その最低限を下回る額で労働契約を締結したとしても、その部分は無効となり、最低賃金と同額で契約したものとされます。

上記のケースでは、労働時間は1日11時間との合意がありますが、8時間を超える部分については無効となります。また、時給500円はいかなる地域の最低賃金をも下回っていますので、給料は最低賃金で契約したものとされます。

さらに、労働契約のその他の特徴としては、詳しくは別のページで触れますが、解雇をするためにはそれ相当の理由が必要であるとか、残業をさせたら残業代を支払わなければならない等といってものもあります。

結局、労働契約というのは、労働契約といえるだけの合意があれば成立し、成立した以上は当事者間の意思に関わらず色々な法律による規制を受ける契約であるということになります。

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