飲食店問題の解決事例

市街地再開発事業に伴う立退き交渉(賃借人側)

依頼人からの相談内容

相談者は、ある大規模な駅から徒歩5分程度の距離で建物を借りて蕎麦屋を営んでいました。 その蕎麦屋を含む周囲一帯の区画が第一種市街地再開発事業の対象となり、相談者は立退きを求められ、どうすればよいかと相談に訪れました。

対応・結果

相談者が最初に相談にいらしてから立退きの期限(予定)までにはまだかなり間があったので、立退きに伴う経済的補償には日々の収益も勘案されるので、過度な経費を計上して利益を出さないようにするといったようなことはしないよう助言しました。

その上で、弊所の弁護士が再開発組合との交渉にあたり、結果として約3500万円の立退料を取得することができました。

ポイント

市街地再開発事業は、都市再開発法に基づき、市街地内の老朽木造建築物が密集している地区等において、細分化された敷地の統合、不燃化された共同建築物の建築、公園、広場、街路等の公共施設の整備等を行うことにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るものであり、高度の公益性が認められるので、通常の立退きの場面とは異なり、正当事由を主張して立退きを拒絶するということは、法的にはあまり大きなインパクトを持ちません。

また、再開発組合は組合独自の補償の基準を持っているので、それと乖離した解決をするよう求めても、組合を困らせるだけです。 組合と根気よく話をし、組合がどういう資料を出してほしいと考えているのかを汲み取って適切な時期に適切な資料を提出するなどした結果、相談者が満足できる額の立退料を取得することができました。

一般的な立退き交渉(賃借人側)

依頼人からの相談内容

相談者は、工場用の建物を借りて、金属パイプの加工等を行う工場を営んでいました。 その建物の所有者が変わり、当該建物を買い取った不動産開発業者から立退きを求められたため、相談者は、どうすればよいかと相談に訪れました。

対応・結果

相談者は、適切な額の補償を取得でき、かつ適切な物件に移転することができるのであれば、立退きに協力するという姿勢であったため、私たちも、相手方に対して協力的に対応しつつ補償は適切な額をしっかり求めるという方針で対応しました。

結果として、約1800万円の立退料を取得することができました。

ポイント

民間同士の立退きの事例では、法的には、立退きの要求が認められるための正当事由の存否が争いの中心になるのですが、立退きを求める大家側の正当事由がさほど強固ではない場合は、賃借人としては、結局は適切な額の補償をしてもらって立退きに応じるという解決を選択することが多いところです。

本件では、新しい物件の工事費用、移転費用、賃料差額等を積み上げ、約1800万円というところで折り合いがつきました。

裁判になれば不動産鑑定士に立退料の鑑定を依頼することもありますが、当事者があまり事を荒立てずに早期かつ円満な解決を望むことも多く、そのような場合には、立退料の算定の仕方に明るい弁護士が問題解決のお役に立つことができます。