従業員のトラブルへの対応

従業員がSNS等で起こしたトラブルへの対応

ケース

従業員が調理場で調理器具を使って悪ふざけをしている写真をSNSに投稿したところ、その投稿が拡散され、店の客足が落ちた。

バイトテロ

SNSの普及と共に、昔であれば生じなかった問題も色々と生じて来ています。その中でも、飲食店や小売店の店員が店内で什器などを使って悪ふざけをした画像を投稿し、それが拡散された結果非難が殺到して収拾がつかなくなるといった問題があり、ネット上ではバイトテロと呼ばれています。

例えば、コンビニエンスストアのアイスケースの中に寝そべった画像がSNSに投稿された事例や、飲食店内の冷蔵庫に入ってふざけている画像が投稿された事例があります。

バイトテロは、時として店舗の営業に重大な影響を与えます。上記のコンビニエンスストアの例では、現場となった店舗はフランチャイズ契約を解除されたとのことです。

SNSは、瞬時に広い範囲に情報が拡散するメディアであるため、時に重大なブランドイメージの低下、企業価値の毀損を生じさせうるのです。

したがって、現在では、従業員のSNS使用によるリスクを回避することは、飲食店を経営する上で無視できない要素となっていると言って良いでしょう。

従業員の法的責任

従業員は、飲食店との労働契約に基づいて、飲食店の名誉や信用を棄損しないという義務を負っているといえます。したがって、バイトテロをした従業員に対しては、飲食店の側から、生じた損害の賠償を求めることが出来ます。

ただし、通常従業員はそれほど多くのお金を持っていないため、飲食店に生じた損害の全てについて、従業員から賠償を得るのは難しいでしょう。また、仮に従業員に十分なお金があったとしても、バイトテロによって飲食店にどれだけの損害が生じたのかを証明するのは簡単ではありませんので、賠償を得るためには時間と労力がかかります。

また、たとえ従業員から賠償が得られたとしても、一旦低下したブランドイメージや評判を回復することは容易ではありません。

事前の予防策

そのため、バイトテロ対策は、事前の予防が重要となります。

店内での写真撮影の禁止や、お客様に関する情報をSNSに投稿することを禁止するルールを作り、それを従業員に周知されることは一つの方法です。従業員を雇い入れる段階で契約書を作るのであれば、それらのルールを明記しても良いでしょう。

また、バイトテロが発生する要因には、SNSをプライベートなものであると考え、時として情報が爆発的に広がる可能性があるということを理解していない、従業員のリテラシー不足があります。したがって、そのようなSNSの性質を理解させるための、従業員教育を行うことも考えられます。

さらに、シフトを組む上で、可能な限り信頼のできる管理者が不在の状況を作らないといった工夫も有用でしょう。

事後の対策

もっとも、ルールを作り教育をしたとしても、従業員の行動を完全にコントロールすることはできません。また、昨今の人手不足の中、本当に信頼できる従業員だけを雇い入れて店舗を経営することも困難かもしれません。

そのため、バイトテロが起こってしまったらどうするか、という対応を考える必要もあります。

問題を起こした従業員に適正な処分をする、従業員が入った冷蔵庫を徹底的に殺菌するといった対応を取ったことを、世間に対してアピールする必要があるでしょう。

その場合注意すべきなのは、対応の速度です。ネットの世界では、あるニュースが瞬間的に広まってゆく反面、そのニュースに対する興味は急速に失われていきます。したがって、まだバイトテロが話題になっている間に対策をとることができれば、その対策をしたという情報も広まることが期待できる反面、対策が遅れた場合、対策をしたことは知られずにただバイトテロがあったという事実だけが人々の記憶とネット上に残ることになるのです。

そして、いざという時に素早い対応を取るためには、普段からいざという時に備えて対応を考えておく必要があるでしょう。